先日、遺族年金の給付を5年とする見直し案が報道されました。
遺族年金の見直しは現役世代やセミリタイア民にどういう影響を与えるのでしょうか?
本記事では遺族年金の現行制度と遺族年金5年化の検討内容について解説し、現役世代がするべき対策やセミリタイア民への影響を考察します。
セミリタイア社労士が現行の遺族年金制度について簡単に解説します
現行の遺族基礎年金を受給できるのは「子ども」か「子どものいる配偶者」のみです。
子どもの定義は一般的に18歳になった年度の3月31日までとなっており、それ以降は子どもの要件から外れますので、全ての子が要件から外れると遺族基礎年金は終了となります。
また現行の遺族厚生年金は30歳未満で子どものいない妻は5年間、30歳以上だと子どもの有無は関係なく要件を満たせば一生涯の給付となります。
現行制度では妻が30歳以上で子ども1人の場合は年間で約157万円の遺族年金を受給できます。
・遺族基礎年金:約105万円
(令和6年度は遺族基礎年金額81.6万円+子の加算額23.5万円)
・遺族厚生年金:約52万円
(年収約500万円、被保険者期間は300月と仮定して算出)
また子どもが大きくなって遺族基礎年金が終了しても、中高齢の寡婦加算(令和6年度は年額約61万円)が支給されます。
そのため65歳まで約113万円が受給可能です。
ただし、遺族厚生年金は妻が死亡した場合、夫は55歳以上でないと受給権が発生しない、中高齢寡婦加算は40歳以上65歳未満の妻しか受給できないという点には注意が必要です。
セミリタイア社労士が解説!遺族年金が5年になるってどういうこと?
現在、見直しが検討されているのは遺族厚生年金だけです。
検討内容としては遺族厚生年金の給付が60歳未満で子どものいない配偶者には5年間の有期給付となる案が検討されています。
現在受給中の人、高齢期で遺族年金が発生した人、子どもがいる配偶者は現行制度が維持され、中高齢寡婦加算も段階的な廃止が検討されているようです。
先ほどのケースを例にすると、見直し案でも子どもがいれば遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給できます。
子どもが要件から外れると遺族基礎年金は終了しますが、遺族厚生年金は無期年金でしたが、見直し案では5年間の有期年金になります。
子どもがいない配偶者の場合も(子どもがいても子どもの要件を満たしいない場合も含む)5年経過すると遺族年金は全て給付終了となります。
中高齢寡婦加算もなくなると、かなりの減額となりますが、男女格差がなくなるのは良いことだと思います。
遺族年金5年化が現役世代やセミリタイア民に与える影響
この遺族年金の見直しは早くても2028年以降に実施され、おそらく20年くらいかけて制度移行していくことが考えられます。
そのため現役世代は見直し案が本格的に決定してから行動しても遅くはありません。具体的な方法としては夫婦ともに生命保険の見直し、専業主フや扶養範囲内で働いている人はもう少し稼げるように準備しておく、資産運用を行うくらいです。
セミリタイア民に関しても基本は同じです。
独身セミリタイア民にはほぼ無関係ですし、子持ちセミリタイア民も基本的には十分な資産を保有しているので問題ないでしょう。
今から焦ってどうこうするというのが一番の悪手だと思います。
それでも遺族年金関係なく、30代や40代の夫婦は今後の働き方や資産運用の開始を夫婦で話し合い、対策を考えておくのはした方が良いでしょう。
これに関しては今すぐ始めた方が効果は高いと思います。