「男性育休はまだまだマイナーだ」と考えている貴方は少し時代遅れかもしれません。
経団連の行った「男性の家事・育児に関するアンケート」によれば、2022年の男性育休の取得率は47.5%であり、平均取得日数は43.7日でした。
これは厚生労働省が行った雇用均等調査の男性の育児休業取得率(約17%)を大きく超えています。
女性の育児休業取得率は雇用均等調査では80%後半、経団連の調査では約96%でした。
女性に比べると、男性の育児休業取得率はまだまだですが、それでも大企業に勤める人の約半数は育休を取得しているのです。
育児休業制度について
育児休業制度の詳細は厚労省のHPに記載されています。
mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
簡単に概略をまとめるとこうなります。
・原則子が1歳(1歳の誕生日前日)まで(最長は2歳)
・原則1ヶ月前に申し出
・分割して2回取得可能
・育児休業給付金が支給される(条件あり)
直近の改正事項を紹介します。
①2022年4月~
・育児休業制度などの個別周知+意向確認
・育休などの申し出が円滑に行われるための組織づくり
・有期雇用労働者の育児・介護休業所得要件の緩和
②2022年10月~
・産後パパ育休*の創設
・育児休業の分割取得可能
・社会保険料の免除要件の見直し
・雇用保険の育児休業給付の見直し
③2023年4月~
・育児休業取得状況の公表義務化(1001人以上)
このように頻繁に改善・改正されており、国が男性の育児休業取得を推進していることが分かります。
・子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能
・休業の2週間前までに申し出が必要
・分割して2回取得可能(1週間×2回など)
産後パパ育休に加え、生後8週後は育児休業が取得可能であり、この育児休業も2回まで分割取得可能なので、合計4回の分割取得が可能です。
これにより繁忙期は仕事に復帰し、繁忙期が終われば育休を取得するパターンや夫婦が何度か交代しながら数ヶ月ずつの育児休業を取得するようなパターンを取ることも可能となりました。
長期育児休業経験者として、この分割取得可能というのは非常に大きいと思います。
やはり男性ではまだまだ職場環境や職場風土から「男性が育休を取得しづらい」、「仕事の穴をあけたくない」と考える人は多いです。
この分割取得を使えば、そういった想いの負担軽減につながり、それが家族への家事育児負担軽減に繋がると考えています。
男性・女性の育児休業取得率の推移
男性の育児休業は過去5年で30%以上も上昇しています。
特に2021年~2022年の増加はこれまでの増加傾向よりも大きく、今後は増々普及する可能性を示唆しています。
男性・女性の育児休業取得日数と企業規模別の関係
男性の育児休業取得期間と企業規模別のグラフになります。
従業員が500人以上だと1ヶ月以上の取得者が50%以上いますが、500人以下だと5日未満の割合が急上昇しています。
これは女性の取得期間と企業規模別の関係を表したグラフになります。
産後休業+育児休業で1年以内に復帰するかと思いきや、保育園の兼ね合いもあり、1年以上取得する人も多いのですね。
男性の家事育児促進のために必要なこと
男性の家事・育児を促進する上での課題の上位3つは
1位:家事・育児と仕事を両立する社員の代替要員の不足(83.5%)
2位:アンコンシャス・バイアスが存在するなど家事・育児と仕事を両立しづらい職場風土(67.3%)
3位:長時間労働や硬直的な働き方(59.4%)
となっています。
1位の家事育児と仕事を両立するのが基本だと思うのですが、それを代替する人間って・・・
もはや独身か家庭が崩壊している人しかいないのでは・・・
男性の家事育児促進のために効果があること
男性の家事・育児を促進する取組みで効果を感じていることの上位は
1位:男性の育児休業取得促進に関する方針や関連制度等についての社内周知(44.6%)
2位:テレワーク制度の導入(36.7%)
3位:男性の育児休業取得を促す積極的な働きかけ(30.2%)
4位:経営トップからのメッセージ発信(28.4%)
となっています。
やはり徹底的な周知とトップの発信によって取得者や取得日数を増やしていき、男性も育児休業を自由に選択できる環境になって欲しいものです。
男性の家事・育児を促進するため、今後、取り組む必要があることの上位は
1位:男性が育児休業を取得しない・できない理由の把握、状況の分析、改善(42.1%)
2位:代替要員の確保(36.0%)
3位:仕事を属人化させないための工夫(31.3%)
4位:経営トップからのメッセージ発信(29.9%)
5位:アンコンシャス・バイアスの解消に向けた呼びかけ(25.9%)
となっています。
こちらも納得のないようです。
男性が育児休業を取得しない・できない理由は金銭的、夫婦関係・職場環境など多岐に渡ると思いますので、やはり1人1人が自由に取得可否・期間の長短を設定できるのが理想ですよね。
男性育休は大企業では徐々に伸びるが中小企業は・・・
これが男性育休最大のネックでしょう。
特に地方の中小企業だと取得できても、数日がほとんどで、長くて数週間です。
代替人員の確保も難しいし、仕事の属人化も発生しているでしょう。
そういう企業にどうアプローチするべきか考える必要があります。
と言っても、まずは制度の周知やトップの発信による「男性でも育休を取得できるという安心感」を醸成することが必要かなと思います。
大企業と中小企業で環境は違うかもしれませんが、やることは変わらないと考えています。
私が育児休業を10ヶ月取得した理由と感想はこちらの記事からどうぞ。
以前に話題になった産休・育児休業中の学び直し問題に対する私見です。
育児休業取得により収入は減りますが、その後の税負担は軽くなります。
育児休業取得による実際の金銭的損得(住民税・保育料含む)をまとめました。