主夫日記

「専業主婦や扶養内のパート妻は離婚したら、夫の年金の半分はもらえる」は嘘です

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離婚件数は平成17年以降減少していますが、離婚件数の2割は同居期間20年以上の夫婦=熟年離婚が占めています。ただし一番多いのは同居期間5年未満です。

実際に離婚した場合、財産分与だけでなく、年金も分割されます。
しかしどのように分割されるかを知っている人は少ないような気がします。

本記事では離婚時年金分割について、専業主婦の妻と離婚した場合、夫の年金は半分になるのか? 共働き夫婦の場合はどうなるの?について解説します。

離婚時の年金分割制度の概要

老後の厚生年金額は標準報酬を基礎として算出されます。
標準報酬とは厚生年金保険料の算定基礎となる標準報酬月額と標準賞与額です。

離婚時の年金分割では、婚姻期間中の標準報酬が多い方から少ない方に一部を分割することです。
したがって、離婚時年金分割では国民年金は関係なく、婚姻期間中の厚生年金加入期間のみ分割対象となります。

専業主婦や扶養内パートの配偶者と離婚した場合は年金が半額になる?

結論から先に言うと、離婚しても老後の年金が半分になることはありません。
婚姻期間中の厚生年金のみ半分になります。

国民年金第2号被保険者(厚生年金加入の会社員など)に扶養されている20歳~60歳未満の配偶者は年収130万円未満かつ配偶者の年収の2分の1未満であれば、国民年金3号被保険者に該当します。
第3号被保険者である配偶者と離婚をした場合に配偶者から請求があれば、婚姻期間中の第3号被保険者期間における標準報酬月額と標準賞与額を2分の1ずつ分割(3号分割)することになります。

例えば婚姻期間中の標準報酬月額が夫40万円、妻0円の場合、離婚時年金分割により婚姻期間中の標準報酬月額は夫20万円、妻20万円に変わります。

このように婚姻期間中の標準報酬が離婚時年金分割制度により変更され、変更された標準報酬をもとに将来の年金額も変更となります。

共働き夫婦が離婚したら年金分割割合は話し合いで決まる

それでは共働き夫婦(ともに厚生年金被保険者)が離婚をした場合はどうなるのでしょうか?

共働き夫婦の場合は合意分割制度が適用され、標準報酬額の按分割合は話し合いで決めることになります。

例えば婚姻期間中の標準報酬月額が夫40万円、妻が20万円だった場合、按分割合が2分の1だと、標準報酬月額が夫30万円、妻30万円に変更されます。

合意分割制度では当事者間の合意または裁判手続きにより按分割合を決めることができます。
分割請求の期限は原則、離婚の翌日から起算して2年以内です。

まとめ

離婚時の年金分割は配偶者が国民年金の3号被保険者であれば3号分割制度、ともに厚生年金加入者であれば、合意分割制度が適用されます。

そして離婚時の年金分割は厚生年金のみ対象です。
国民年金は分割されませんし、分割対象は将来の年金額ではなく、婚姻期間中の標準報酬です。

「離婚すれば夫の年金の半分は妻のもの」は幻です。

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