今回は女性が正社員で活躍する時代に相応しくない男女不平等な遺族年金について紹介します。
わが家のように一家の稼ぎ頭である妻にもしものことがあった時・・・
あなたはどれくらいの遺族年金が貰えるか知っていますか?
会社員や公務員であればほぼ必ず加入している厚生年金は男女不平等な制度になっています。
厚生年金の遺族年金は男女不平等である
年金には国民全員が加入する国民年金が1階部分、厚生年金が2階部分、そして3階部分が確定拠出年金や確定給付年金となります。
厚生年金とは主に会社員や公務員の人が加入している公的年金です。
厚生年金加入者は毎月高い保険料を支払っていると思います。
保険料率は18.3%であり、これを会社側と折半して約9%払っています。
この年金は老後の年金というイメージがありますが、障害で働けなくなった時や、死亡した場合の遺族の補償も含まれています。
障害厚生年金は障害等級2級だと平均支給額は約11万円となっています。
これに1階部分の国民年金から障害基礎年金が出ますので、合計で毎月20万円近くの支給があります。
遺族厚生年金の場合は死亡した厚生年金被保険者の月収が30万円、子ども2人と仮定すると毎月約13.3万円が支給されることになります。
この遺族厚生年金は会社員の夫が死亡した場合、遺族である妻は基本的に年齢制限なく受け取れます。(別居などして生計維持関係がない場合を除く)
しかし、会社員の妻が死亡した場合、遺族である夫が遺族厚生年金を受けとれる条件は55歳以上の夫となっており、年齢制限が存在します。
こんな男女不平等な制度が令和の時代に未だに残っています。
夫死亡→妻に毎月約13.3万円(遺族基礎年金+遺族厚生年金)が支給
妻死亡→夫に毎月約10万円(遺族基礎年金のみ)が支給(60歳以下)
丸々13.3万円ないわけではありません。ご安心ください。
しかし国民年金の遺族基礎年金は子どものいない配偶者には支給されません。
夫死亡→妻に毎月約3.3万円支給
妻死亡→夫には支給なし(55歳以下)
ちなみに遺族である夫が55歳以下の場合は夫ではなく、子ども(18歳の3月31日までに限る)に遺族厚生年金の受給権が発生しますので、金銭的な部分での影響は少ないと思います。(夫が貰うか、子どもが貰うかの違いで貰える金額は同じ)
ただし、子どもの受給権は18歳の3月31日を過ぎると消滅するので、それ以降の遺族厚生年金はもらえなくなります。
一方で妻に支給される遺族厚生年金は基本的には妻が死亡したり、再婚したりするまで支給されますし、遺族厚生年金には中高齢の寡婦加算という制度もあり、40歳以上65歳未満で遺族基礎年金が受給できないなどの要件を満たせば、年額約61万円を受給できます。
もちろん寡婦なので、男性は受給できません。
受給権発生の面と受給期間の長さという面においても男女不平等な制度と言えます。
夫婦共に正社員の場合は気を付けておきたいポイントです。
仕事上の災害で死亡した場合の補償も男女不平等である
業務上の災害で死亡した場合の遺族補償給付(いわゆる労災保険)もまた男女不平等です。
こちらも妻は生計維持関係のみで遺族補償年金を受け取れますが、夫は55歳以上でないと貰うことができません。
遺族厚生年金も労災保険の遺族補償給付も労働者の遺族に対する年金です。
戦後日本の歴史から考えれば労働者=男性のイメージが根強くこのような男女不平等な法律のままになっていると考えれます。
国民年金も不平等が解消されたのは平成27年
夫婦が同じ月収でも貰える遺族年金の差は遺族厚生年金分だけで、国民年金である遺族基礎年金は男女平等な制度となっています。
この遺族基礎年金があるからまだ正気を保てますよねww
しかしこの法改正が行われたのも平成27年のことであり、それまでは厚生年金や労災保険と同様に男女不平等な制度でした。
国民年金が法改正されたのに、厚生年金や労災保険が改正されないのは解せませんが、一刻も早く法改正されて欲しいものです。
共働きだと公的年金支給額が違うので要注意
上記のように夫婦共働き、特に夫婦が同じくらいの年収の場合は夫婦共に同じ保障の民間保険を掛けることが一般的だと思いますが、会社員や公務員の場合は支給額が異なりますので注意が必要です。
それにしても令和の時代にこんな男女不平等な制度が残っているとは・・・
大変残念な気持ちになってしまいますよね・・・
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